テキサス・レンジャーズに所属する日本を代表するピッチャー・ダルビッシュ有。
打者をえぐるストレート、読みの裏をかく多彩な変化球で常に好成績を残すダルビッシュですが、彼が今、プロ野球の常識を大きく変えているのが”独自のトレーニング理論”です。
メジャー5年目・・・
従来の伝統的なトレーニングではなく、科学的根拠に基づいた肉体改造。
ダルビッシュの考えるトレーニング理論と、その考え方に迫ります!
常識を疑うことから始まる新しいトレーニング理論
「まわりに真剣に肉体改造に取り組んでいる人がいなかったから、正しくやれば強みになると思った」
メジャーで活躍する日本を代表する大投手・ダルビッシュ有選手は、インタビューにそう答えています。
2004年、北海道日本ハムファイターズに入団した当初は、195cmの長身にもかかわらず、わずか70kgほどしかなかった体重。
それが、現在では100kg近くに増量し、試合でバテることのない、パワフルな肉体を手にしました。
メジャーでの好成績を支えているのが、彼が実践する独自のトレーニング方法です。
これまでの野球界ではタブー視されていた取り組みにも、積極的に自らの身体を実験台に試行錯誤を続けているといいます。
2016年シーズンに大躍進した大谷 翔平選手も、オフシーズンにはダルビッシュ選手とともにトレーニングを行ない、その考えを継承している一人。
では、ダルビッシュは従来のトレーニングの何に疑問を持ち、どのような考えで独自の理論を作り上げていったのでしょうか!?
すべて頭を使い、理論から入るトレーニング
ダルビッシュのトレーニングに共通していることが、その取り組みは”常に理由が明確である”ということ。
「なぜ、その方法なのか」
「なぜ、その負荷量なのか」
がしっかり考えられているのです。
彼は、野球選手でありながら、栄養学や脳科学・身体生理学の知識が深く、理論に基づいて、生活の全てを野球のために調整しています。
野球のためになるなら、どんな分野の事でも貪欲に学んで、取り入れているわけです。
その一例として、ダルビッシュは、野球界に今でも広く根付いている「走り込み」にも異を唱えます。
有酸素運動を多くやると、筋肉のなかで遅筋の比率が増え、プレーの多くで瞬発性が求められる野球ではマイナスとなる。
なのに、なぜ野球の世界では、何かにつけて「走り込み」に取り組むのか?
と疑問を持ち、ゼロベースから考えを進めていくのです。
結果的に「今では走り込みは2〜3日おきに10本くらいダッシュするだけ」というダルビッシュ。
代わりに、速筋を中心に鍛えるために、高負荷なウェイトに徹底的に取り組んでいるからこそ、キレのよい投球をシーズンを通して発揮することができるんですね。
肉体改造は計算つくされた食事習慣
「あっ、ちょっと失礼します!」とインタビュー中にも関わらず、サプリメントであるプロテインを摂取するダルビッシュ。
彼は栄養学を学び、理論に基づいて徹底的な食事管理を行なっています。
「野球のために、今では味の良し悪しはまったく感じない」
と語るダルビッシュは、分刻みでサプリメントなどで栄養摂取を管理しています。
さらに、様々な方法を自分の身体を実験台にして検証しているのです。
多くのアスリートが、栄養摂取について、プロの栄養士の意見を丸呑みしたり、または自分の常識を疑うことなく続けていったりしています。
ほとんどのアスリートが「新しく試すことをしない」のです。
そんななか、彼は自分の食事の考えを常に更新していく向上心があります。
だからこそ、更なるレベルアップにつながっているのではないでしょうか。
トレーニング理論はプロフェッショナルな姿勢から!
しかし、彼のこのストイックすぎるまでのプロフェッショナルな姿勢を支えているものは何なのでしょうか?
以前、TVのインタビューで彼はこう答えていました。
「ケガをして引退するような選手は大勢います。
でも、世の中には病気や障害で自分のやりたいことに挑戦できない人もいらっしゃいます。
そんな人が今、なんでもできるよ! って言われたら、全部をかけて自分の夢に挑戦すると思う。
僕はその人の気持ちも背負ってプロで野球をしているんです。」
ダルビッシュ有のストイックで、計算された考え方があるからこそ、常にレベルアップし、高いレベルのパフォーマンスを出し続けることができるのでしょう。
これからも、彼の活躍に目が離せませんね。